必ず受診前にWEB問診の実施をするようにお願いいたします。
当院の特徴
特徴1 内視鏡検査・手術は全て内視鏡専門医・指導医が執刀
当院の内視鏡検査・手術は全て日本消化器内視鏡学会専門医・指導医が行います。院長は長年にわたって消化器内視鏡専門の研鑽を積み、内視鏡検査は20,000件以上を行ってきております。消化器内視鏡分野での豊富な診療および手術経験を生かしてまいります。
特徴2 鎮静剤の使用によって苦痛のない経口検査
胃カメラで経口内視鏡検査の場合は、基本的に鎮静剤を用いた検査をお勧めしています。大腸カメラは鎮静剤や鎮痛剤を使用しますので、完全に眠っているか、眠っているようなウトウトした状態で、ほとんど苦痛なく検査が可能となります。患者さんの年齢、体重、既往歴、薬に対する反応性などを確認しながら、個々の患者さんに合わせた最適な麻酔薬の組み合わせ、投与量を選択して検査を行っております。検査中はもちろん、検査後においてもモニター装着の上、全身を厳密にコントロールして安全性を高めています。
特徴3 苦痛をおさえた経鼻内視鏡も選択可能
スコープは経鼻内視鏡初のハイビジョン画質を実現したオリンパスの EVIS EXERA Ⅲを導入しております。超小型の高解像度CCDカメラを採用しているので、体内の様子が細部まで鮮明に画像が映し出されます。
特徴4 大腸カメラ検査時に発見されたポリープはその場で切除
検査中にポリープが見つかった場合は、その場でポリープ切除を行うことが可能です。小さくて隆起したポリープは高周波の通電をしないコールドポリペクトミーで切除します。これは深部に熱が伝わる心配がないため安全性の高い手法です。比較的大きなポリープ・平坦なポリープ・血管があるポリープは生理食塩水などを注入してスネアをかけて高周波で通電して切除する内視鏡的粘膜切除術を用います。生理食塩水が深部への熱を防ぐため安全に行うことができます。ただし発見したポリープのサイズが大きい場合・形状に問題がある場合、そして数が多い場合には入院による手術が必要になります。そうした際には連携の高度医療機関をご紹介しています。
特徴5 高度な挿入法
大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)では、内視鏡スコープを挿入する際に最も苦痛が起きやすいとされています。当院では、患者様の痛みを与える可能性を最小限にできる軸保持短縮法と体位変換を組み合わせた挿入法を用いています。最初に左側臥位で内視鏡スコープを挿入し、S状結腸に到達したら仰臥位にしてS状結腸の屈曲を重力によって打ち消して挿入します。痛みや苦痛を最小限に抑えるだけでなく、安全性も高い手法です。こうした高度な手法を用い、2~5分程度で大腸の奥に内視鏡スコープの先端が到達します。
特徴6 受動湾曲機能が搭載されたスコープを使用
大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)これまではスコープに関節が1つしかなく、スコープ挿入の際にステッキ現象を起こして腸管を押してしまい、痛みや不快感を起こすことがありました。当院では、受動湾曲機能が搭載されたスコープを用いることで、ステッキ現象を起こさずにスムーズな挿入が可能になっています。
特徴7 先端フードを使用
スコープに先端フードを装着して検査することで、大腸のヒダやシワの裏側の観察を観察しやすくしています。これによって送気を減らし、患者様の負担も軽減できます。
特徴8 完全個室の快適空間
安心して検査を受けて頂くために、受診環境にとことんこだわっております。全ての患者さんに専用の個室をご用意。検査の前後はテレビ付き個室で、自分だけのリラックスした時間をお過ごしいただけます。
特徴9 ストレッチャーで寝たまま移動
内視鏡検査で鎮静剤を使用された場合、専用の個室でしばらくお休み頂きます。検査後は、ストレッチャーで寝たままの体勢でそのまま移動できるので、患者様のご負担がなくゆっくりお休み頂けます。
特徴10 オリンパス社が誇る最新内視鏡システム導入
内視鏡分野で世界的に高い評価を得ているオリンパス社製の、最新内視鏡システムを導入し、専門医の高度で繊細な技術を最大限生かせる高度な検査が可能になっています。短時間に精緻な観察が可能なだけでなく、患者様の負担を軽減するための配慮や工夫がされているため、楽な検査を行うことができます。また、デジタルハイビジョンによる詳細な観察、NBIの特殊光による微細な毛細血管分布の確認、画像処理による正確性の高い炎症評価など、病変の発見に有効な数々の機能を搭載しています。
NBI
がんは活発に増殖し、増殖には大量の栄養が必要になるため周囲に毛細血管を集めます。通常光では発見が困難な微細ながんも、毛細血管の分布を確認することで短時間に発見できます。NBIでは、血管を強調表示する特殊光による観察を行うことができます。微小な毛細血管も強調表示して詳細に表示できるため、分布を確認することで早期がんや将来がん化する可能性が高い前がん病変の発見につながります。NBIは最初、のどや食道の微小ながん発見への有効性が認められ、現在は光の明度が上がったことで胃や大腸の早期がん発見への有効性も認められています。
特徴11 ハイビジョン大型液晶モニターによる観察
内視鏡システム検査中は、ハイビジョン大型液晶モニターで検査画像を確認しています。反射や映り込みがなくクリアな画像を観察でき、角度を変えても画質低下を起こさないため、位置などにも左右されずに緻密な検査をスピーディに行うことができます。検査のクオリティアップに加え、短時間の検査が可能になって患者様への負担軽減にもつながります。また、経鼻検査で鎮静剤を使わない場合には、患者様が検査中に画面を観察することも可能です。ご希望がありましたら遠慮なくお申し出ください。
特徴12 炭酸ガス送気を使用
胃カメラ検査時には胃に空気をいれ、しわなどで隠れた部分も漏れなく観察する必要があります。当院では炭酸ガスを使用している為、空気のおよそ200倍吸収が早く、検査後の不快は腹満感を軽減することができます。
特徴13 最上位内視鏡マネジメントシステムSolemio QUVEの導入
内視鏡所見・内視鏡画像のデータベースとしてSolemio QUVEを導入しております。患者さんの経年的な変化をいつでも比較検討でき、継続的なフォローが可能です。これにより個々の病状に応じた最適なフォロー期間を算出することができ、検査後においても万全な体制を構築しております。
特徴14 胃カメラ検査と大腸カメラ検査の同日検査に対応
内視鏡検査は胃カメラ検査と大腸カメラ検査を同日に行うことができます。別々に来院する必要がなく、前処置である、食事制限や下剤の内服、服用している薬の調整などが1度で済むため、患者さんの負担の軽減になります。普段忙しい方でも安心して検査を受けていただくことができます。
特徴15 最高水準の衛生管理
感染予防内視鏡検査時に使用するスコープや処置具は、ガイドラインに準拠して確実で安心できる洗浄システムによる徹底的な衛生管理を行っています。スコープは1検査ごとに器具を手洗いした上で、最新のオリンパス製内視鏡洗浄機で過酢酸製剤を使用した優れた消毒を行い、処置具は超音波内視鏡洗浄を行った後にオートクレーブ滅菌を行っています。
特徴16 コロナ対策を含めた様々な感染症対策
受付で全ての方に体温測定を行っており、院内に入られる方には必ずマスクの着用をお願いしています。また、新型コロナウイルス感染症が疑われる方の内視鏡はお断りしています。院内は24時間換気システムを導入しており、換気の徹底と高濃度アルコールでの定期的な消毒も行っています。検査の際には医師、看護師はフェースシールドまたはゴーグル・マスク・手袋・ガウンを着用しています。当院は検査を受ける全ての患者さんにそれぞれ専用個室・専用トイレがあり、患者さん同士の接触を避けられるようになっております。
消化器内科
消化器内科では、消化管(食道・胃・十二指腸・小腸・大腸)と、消化を助ける胆のう・膵臓・肝臓など、消化器を総合的に診療しています。消化器疾患では、飲み込む際の違和感、胸やけ、吐き気・嘔吐、みぞおち・胃の不快感・痛み、腹痛、下痢・便秘・血便などの症状を起こすことが多く、発熱・体重減少・貧血などをともなうこともあります。消化器疾患は同じ症状を起こすものが多く、早急な治療が必要な疾患でもかなり進行するまで軽い症状しか起こさないケースがあります。こうしたことから、消化器症状が続く場合には消化器内科を受診して原因をしっかり確かめることが重要です。
- 飲み込む時の喉の違和感
- 吐き気
- 胃の痛み不快感
- 下痢
- 全身がだるい
- 貧血
- 食欲の低下
- 胸焼け
- 嘔吐
- みぞおちの痛み不快感
- 便秘
- 血便
- 黄疸
- 体重減少
下記のような症状がある場合には、消化器内科の受診をおすすめします。また、健康診断や人間ドック、検診などで便潜血陽性、ピロリ菌感染陽性、肝機能異常を指摘された場合は、症状の有無に関わらず早めに受診してください。
このような症状の場合には内視鏡検査をお勧めいたします。
消化管(食道・胃・十二指腸・大腸)の疾患
食道
逆流性食道炎
胃の内容物が食道に逆流して、胃酸などによって食道粘膜が炎症を起こしている状態です。食道と胃の間にあって逆流を防ぐ仕組みが加齢などによってうまく働かなくなって発症します。肥満や強い腹圧、脂肪の多い食事、喫煙や飲酒なども発症に関わっています。近年、幅広い世代で発症が増加傾向にあります。主な症状は、胸やけ、呑酸(酸っぱいものが上がってくる)、長引く咳などがあります。再発を繰り返しやすいため、消化器内科で再発予防も視野に入れた治療を受けるようにしてください。
食道裂孔ヘルニア
食道裂孔は、胸部と腹部を分けている横隔膜にある穴で、そこを食道が通って腹部にある胃につながっています。食道裂孔ヘルニアは、胃の上部が食道裂孔の上にはみ出してしまっている状態です。特に症状がなければ問題はありませんが、逆流性食道炎を発症しやすい傾向があります。食道裂孔ヘルニアは、肥満、気管支炎や喘息で咳が多い、腹部の締めつけなど腹圧の上昇によって発症しやすくなるとされています。
食道アカラシア
食道と胃の境目が強く収縮して弛緩しにくいため、飲み込んだ飲食物がなかなか胃に入っていかない状態です。食道の中に食べ物がとどまる時間が長くなり、つかえや嘔吐などを起こします。食道の機能異常によって起こると考えられていますが、はっきりとした原因はわかっていません。内科的な治療で効果がない場合には、内視鏡による治療を行います。
食道がん
飲み込みにくさやしみる感じがするといった程度で自覚症状に乏しく、食道粘膜は薄いため転移を起こしやすいことから、予後が良くないがんとされていますが、内視鏡検査で早期発見が可能です。炎症を繰り返したり、飲酒や喫煙の習慣があると発症しやすいとされているため、リスクが高い場合には定期的な内視鏡検査をおすすめしています。
食道乳頭腫
食道粘膜にできる白色の隆起性病変で、症状がほとんどないため、内視鏡検査時に偶然発見されることがほとんどです。良性ですので、特に治療の必要はありません。
食道アカントーシス
食道乳頭腫よりやや小さい楕円形の隆起が散らばるようにできます。症状はなく、内視鏡検査で偶然発見されることがほとんどを占めます。約1割程度の方に見られるよくある病変ですが、治療は必要なく定期的な経過観察で十分です。
食道バレット上皮(バレット食道)
胃に近い食道粘膜が胃粘膜のように変化してしまっている状態です。炎症が長期間続くと発症しやすいとされていて、食道がんの発症リスクが高い状態ですから、定期的な経過観察が不可欠です。
食道カンジダ(カンジダ性食道炎)
真菌(カビ)の1種であるカンジダは体内に存在する常在菌ですが、免疫力が低下すると食道に感染することが知られています。ステロイドや抗生物質、胃酸抑制薬などの薬剤も誘因となります。一方、病気がなくリスクとなる薬剤内服のないお元気な方でも認めることがあります。胃カメラで観察すると白い苔がついているように見えます。1%の方にみられる頻度の高い病態です。自然に治ることも多いのですが、一面に広がってしまったり、粘膜がただれたりした場合には治療が必要です。
好酸球性食道炎(アレルギー性食道炎)
好酸球は白血球の1種で、その好酸球が食道に浸潤して炎症を起こして食道の運動障害や中が狭くなる状況を引き起こします。典型症状はつかえ感,嚥下障害,嘔吐です。50歳代を中心に幅広い世代で発症し、胃酸抑制薬で改善することも多いですが、症状が重い場合にはステロイドによる治療を行います。
胃
急性胃炎
アルコール、ストレス、アレルギー、薬剤などによって胃粘膜の炎症が急激に起こっている状態です。自然に治ることもありますが、早期に症状を改善させるためには受診して治療を受けることをおすすめします。
慢性胃炎
長期間、胃炎が続いている状態で、主な原因にはピロリ菌感染、非ステロイド性消炎鎮痛剤(ロキソニン等)の長期間服用、アルコール摂取、ストレスなどがあります。症状は、胸やけ、胃もたれ、胃痛などです。症状自体は胃酸抑制薬、胃粘膜保護薬などで改善しますが、再発を繰り返しやすいため根本的な原因を解消する治療が必要です。ピロリ菌感染陽性の場合には、除菌治療が有効です。
胃潰瘍
胃の炎症を繰り返して、胃粘膜が深く傷付いて欠損している状態です。みぞおちの痛みやゲップを繰り返すといった症状が現れ、進行すると強い胃痛や出血による黒いタール便、貧血などを起こすこともあります。主な原因は、慢性胃炎と同様にピロリ菌感染、非ステロイド性消炎鎮痛剤(ロキソニン等)の長期間服用、血をサラサラにする薬剤(バイアスピリン・クロピトグレル・ワルファリン等)などであり、症状を改善する治療や根本的な原因を解消する治療に関しても同様です。
胃びらん(びらん性胃炎)
胃粘膜が浅く傷付いている状態で、症状がない場合には特に治療の必要はありません。症状がある場合には、症状の内容に合わせて胃酸抑制薬、胃粘膜保護薬などによる治療を行います。
萎縮性胃炎
慢性胃炎が進行して胃粘膜が萎縮してしまっている状態で、主な原因はピロリ菌感染による長期間続く胃の炎症です。特に症状がないまま萎縮性胃炎にまで進行している場合もあります。ピロリ菌を除菌することで胃がんのリスクは3分の1に軽減することがわかっていますが、胃がんにならないわけではありません。早期発見と治療のためには定期的な胃カメラを受けることが重要です。
ピロリ菌感染症
強酸の中で生息できるピロリ菌は、多くは乳幼時期に感染して、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍などを起こすため、胃がん発症のリスクが上昇してしまいます。除菌治療に成功することでピロリ菌を除去できますし、炎症や潰瘍の再発を予防できます。
胃がん
日本人に多いがんですが、早期発見できれば内視鏡による治療で完治が可能です。自覚症状のない段階で早期発見する必要があるため、リスクが高い場合には定期的な内視鏡検査をおすすめしています。ピロリ菌感染陽性の場合、炎症を繰り返すため胃がん発症のリスクが高くなります。胃カメラではピロリ菌感染の有無を確かめることもできます。なお、ピロリ菌の除菌治療に成功した場合、再感染することはほとんどありません。
胃底腺ポリープ
ピロリ菌に感染していない健康な胃に発生しやすいポリープで悪性化することはほとんどありません。そのため、経過観察は必要ですが、特に治療は必要ありません。
過形成性ポリープ
ピロリ菌感染が発症に関与しているとされています。除菌治療に成功した場合、ポリープが小さくなる、または無くなることがあります。経過観察して、サイズが大きいもの、増大傾向があるもの、出血する可能性があるものに関しては内視鏡による切除を検討します。
機能性ディスペプシア(FD:Functional Dyspepsia)
胃痛・胃もたれなどの症状がありますが、血液検査や胃カメラで観察しても胃潰瘍や胃がんなど症状を説明できる異常が特定できない状態で疑われます。、胃の運動機能障害、知覚過敏、心理社会的要因などで起こります。機能などに問題があって症状を起こしている状態とされています。症状に合わせた薬の処方に加え、消化管の機能を改善する薬や生活習慣の改善などによって症状の緩和に導きます。
アニサキス症
イカ、サケ、サバ、サンマ、イワシなど身近な魚介類の寄生虫で、生や加熱が不十分な状態で食べると感染します。みぞおちや胃の激しい痛み、嘔吐などを起こしますが、人間を宿主にはできないため1週間程度で死滅します。内視鏡によって摘出することで症状は速やかに解消しますので、疑わしい症状がある場合には食事をせずに受診してください。
十二指腸
十二指腸炎
十二指腸粘膜が炎症を起こしている状態です。ピロリ菌感染、非ステロイド性消炎鎮痛剤(ロキソニン等)の長期間服用、アルコール摂取、ストレスなどが発症の原因とされています。症状がないこともありますが、症状を改善する治療だけでなく、原因にアプローチした治療を受けることで再発させないことが重要です。
十二指腸潰瘍
胃潰瘍と同様にピロリ菌感染が発症に関与することが多くなっています。十二指腸壁は胃壁に比べて薄いため、潰瘍によって穴が開く穿孔を起こしやすく、出血することもありますので、できるだけ早く受診して適切な治療を受けましょう。治療は胃潰瘍と同様であり、ピロリ菌感染陽性の場合には除菌治療の成功によって再発を防ぐことができます。
大腸
感染性腸炎・食中毒・急性胃腸炎
ウイルスや細菌など病原体が感染して発症する胃腸炎であり、細菌が原因の場合には抗菌薬による治療が有効ですが、ウイルスが原因の場合には症状を緩和させる対症療法を行います。原因となる主な細菌はサルモネラ、カンピロバクター、病原性大腸菌(O157など)など、主なウイルスにはノロウイルス、ロタウイルスなどがあります。典型的な症状には下痢、嘔吐、発熱があり、市販の下痢止めを服用すると毒素の排出が妨げられて症状が重くなることがありますので、早めに受診することをおすすめします。また、嘔吐があって水分補給を十分にできないと脱水症状を起こしやすいので注意が必要です。
急性虫垂炎
一般的には「盲腸」と呼ばれることがありますが、実際には盲腸から下がった虫垂という細長い部分が炎症を起こしています。最初に胃の周辺に違和感があって、それが徐々に右下へ移動しながら痛みに変わっていくという経過をたどることが多くなってます。炎症が軽度の場合には抗生物質による内科的な治療で改善が見込めますが、炎症が強い場合には手術が必要です。
大腸ポリープ
大腸粘膜にできる良性の腫瘍ですが、大部分を占める腺腫は長期間経過するうちに一部ががん化することがあり、前がん病変と捉えられています。ほとんどの場合、自覚症状はありませんが、できた位置や大きさによっては便潜血検査陽性や血便などを起こすこともあります。症状がないものを含め、大腸内視鏡検査で発見が可能であり、発見した大腸ポリープは検査中にその場で切除する日帰り手術が可能です。腺腫の段階で切除することで将来の大腸がん予防につながります。
大腸がん
日本で患者数が増え続けているがんですが、進行がゆっくりで早期発見できればほとんどは完治が見込めるとされています。早期の大腸がんや将来がん化する可能性のある大腸ポリープの段階で発見するためには、定期的な大腸内視鏡検査が必要です。自覚症状なく進行し、転移してはじめて気付くケースも少なくありませんので、リスクが上昇しはじめる40歳を超えたら特に症状がなくても検査を受けるようにしましょう。便潜血検査陽性、または血縁者に大腸がんになった方がいる場合はそれより前の検査をおすすめしています。
亜腸閉塞・腸閉塞
腸の動きの低下や通過障害を起こしている状態で、状態や原因によっては手術が必要になる場合もあります。主な症状は腹痛や嘔吐、便秘、腹部膨満感などで、大腸がんや前がん病変の大腸ポリープが原因で生じていることもあります。他にも、薬の副作用や手術後の腸管癒着などによって起こることもあります。
大腸憩室症
憩室は粘膜の小さなへこみで、腸管内の内圧上昇によって生じると考えられています。珍しいものではなく、特に治療も必要ありません。ただし、細菌感染による炎症や、出血を生じている場合には治療対象になります。
大腸憩室炎
大腸粘膜の憩室が細菌感染によって炎症を起こしています。ほとんどの場合には抗菌薬の投与で改善しますが、炎症が進行して腸に穴が開く穿孔を起こした場合には速やかな手術が必要です。
憩室出血
突然の下血を起こしますが、腹痛をともなうことはありません。血液をサラサラにする薬を内服していると発症しやすいとされています。絶食と安静で回復が見込める場合がほとんどですが、出血が続く場合や、何度も繰り返し発症する場合には手術が必要です。
虚血性腸炎
腹痛をともなう下血が主な症状です。大腸に酸素や栄養素を送っている血管が動脈硬化などによって狭窄や閉塞を起こして血流が悪化し、大腸粘膜の炎症や壊死を起こします。炎症の範囲によって腹痛や下血の程度も大きく変わります。ほとんどの場合は安静によって改善が見込めますが、炎症の状態によっては抗菌剤の処方などを行うこともあります。
痔
いぼ痔(痔核)、切れ痔(裂肛)、痔ろう(あな痔)に分けられ、いぼ痔はさらに内痔核と外痔核に分けられます。それぞれ症状や必要な治療方法が異なり、中でも痔ろうは手術以外では治せないことが大きな特徴になっています。いぼ痔や切れ痔は生活習慣の改善や坐剤、内服薬などによる保存療法で治療が可能な場合が多いため早めの受診をおすすめしています。また、痔は再発しやすい病気ですから、便秘の根本的な治療を受けるなど再発予防も含めた治療が重要です。
潰瘍性大腸炎
慢性的な炎症性腸疾患で、主な症状は腹痛、下痢、血便です。根治治療がないため厚生労働省より医療費助成対象疾患の難病に指定されていますが、炎症自体を改善する効果的な治療が可能ですので、適切な治療を続けることで発症前とあまり変わらない生活を送ることも可能です。大腸内視鏡検査で特徴的な病変の有無を確かめ、組織を採取して生検を行うなどによって診断します。炎症を改善する5-アミノサリチル酸製剤による治療を中心に、免疫調整剤・抗体製剤、血球成分除去療法、手術などによる治療も行われています。
クローン病
慢性的な炎症性腸疾患で、厚生労働省より医療費助成対象疾患の難病に指定されています。主な症状は、腹痛、下痢、血便であり、潰瘍性大腸炎と似ていますが、クローン病では大腸以外の消化管全域にも炎症を生じることがあります。クローン病は栄養療法や食事制限が必要になることが多いなど潰瘍性大腸炎とは治療法が異なりますので、大腸内視鏡検査による潰瘍性大腸炎との鑑別が重要になってきます。
ベーチェット病
主な症状は、口腔内のアフタ性潰瘍、皮膚症状、眼のブドウ膜炎、外陰部潰瘍ですが、消化器に病変ができることも多く、腹痛や下痢、下血などを生じることがあります。医療費助成対象疾患の難病に指定されている病気であり、炎症の悪化や再発を抑える治療が不可欠です。治療ではステロイドや免疫調整剤などが使われます。
過敏性腸症候群
腸炎激しい下痢を繰り返す下痢型、慢性的な便秘を起こす便秘型、便秘と下痢を繰り返す交互型などに分けられます。炎症などの病変はありませんが、機能などの問題によって症状を起こしていると考えられており、緊張がきっかけとなって症状を起こすことが多くなっています。近年、日本で増加傾向にあるとされていて、日本人の10~15%程度にみられると指摘されています。大腸内視鏡検査で病変がないことを確認した上で診断されます。症状に合わせた治療を受け、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の低下を防ぎましょう。
便秘
数日便が出ない状態だけでなく、いきんでもなかなか便が出ない、小さくてコロコロした硬い便しか出ない、排便後も残便感があってスッキリしないなども便秘に含まれます。便秘は、食事や運動、ストレスといった生活習慣や蠕動運動低下などによって起こる機能性便秘と、病気や薬物などによって起こる器質性便秘に分けられます。器質性便秘の原因疾患には、大腸がん、腸管癒着、子宮などの腫大、甲状腺疾患、糖尿病などがあり、また抗うつ剤などの薬剤による影響で器質性便秘を起こしていることもあります。早急な治療が必要な原因疾患の有無を確かめるためにも、消化器内科受診をおすすめします。また病気が隠れていない場合でも、便秘が続くことで大腸疾患や痔の発症リスクが上昇してしまいます。便秘でお悩みの場合には、お気軽にご相談ください。
肝臓・胆道(胆のう・胆管)・膵臓の疾患
肝臓
肝障害
健康診断などで受けた血液検査で、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPの項目に異常値がある状態です。症状がない場合がほとんどを占めますが、深刻な肝疾患があって生じていることがありますので、異常を指摘されたらすぐに消化器内科を受診してください。腹部超音波検査、腹部CT検査などで詳細に調べて診断します。
急性肝炎(ウイルス性、アルコール性、自己免疫性肝炎)
肝臓の機能障害が起こっている状態で、肝炎が持続すると肝硬変や肝臓がんの発症リスクが生じてしまうため、早期の受診と、原因に合わせた治療が必要です。ウイルス性は主にB型肝炎とC型肝炎ですが、まれにA型肝炎やE型肝炎の場合もあります。他に、アルコール性、自己免疫性肝炎があります。自覚症状がないことがほとんどを占めますので、肝障害、肝炎を指摘された場合には早めに消化器内科を受診してください。
脂肪肝
肝臓に脂肪がたまっている状態で、肝硬変や肝臓がんに進行する可能性があることがわかり、積極的な治療が行われるようになっています。また、脂肪肝は高血圧や脂質異常症といった動脈硬化を進行させる生活習慣病の発症や進行にも関与していると考えられています。肥満解消をはじめとした生活習慣の改善で比較的効果を得やすい傾向があります。
NASH(非アルコール性脂肪肝)
アルコール摂取は脂肪肝の大きなリスク要因とされていますが、アルコールを摂取しない(または少量のみ)方でも脂肪肝を発症することがあり、約10%に肝硬変や肝臓がんへの進行があるとされています。こうしたことから、食事指導・運動療法に加え、血液検査や腹部超音波検査などで定期的なチェックを受けることが必要です。
肝硬変
慢性肝炎が長期間続くことで、肝臓が硬くなり、肝硬変になります。肝臓がんの発症リスクが高い状態です。また、肝硬変になると肝臓に流れるはずの血液が行き場を失って食道や胃に静脈瘤を生じさせ、それが破裂してしまうと大量出血し命に関わります。他にも、腹水がたまったり、アンモニアがたまることで意識レベルが低下する(肝性脳症)など、深刻な合併症を生じる可能性があるため、定期的な受診と検査が不可欠な状態です。
肝臓がん
日本では年間約3万人が肝臓がんで亡くなっているとされていて、男性に多い傾向があります。ほとんどの場合は、肝炎や肝硬変といった慢性的な肝臓疾患によって生じるため、こうしたリスクがある場合には消化器内科で定期的な検査を受けることが早期発見には不可欠です。特に肝臓は自覚症状なく進行することが多いため、注意が必要です。健康診断などで肝機能に異常を指摘されたら早めに消化器内科を受診してください。
胆道(胆のう・胆管)
胆石
胆のう内にできた結石で、症状がなければ基本的には治療の必要はありません。ただし、胆のう炎を起こし、右上腹部やみぞおちの痛みが出た場合には、胆のう炎を起こしている可能性が高いですので、我慢せず、早めの受診をして下さい。食事指導や抗生物質などの治療で落ち着く場合もありますが、重症の場合は、緊急入院、手術が必要なこともあります。また、胆のうがんのリスクにもなりますのでので、症状がない方でも定期的な超音波検査をお勧めします。
胆のう炎
胆石が胆嚢管という出口に移動し、はまり込むことで胆のうに炎症を起こします。血液検査や腹部超音波検査、CT検査などで診断は可能です。症状の程度によっては、入院治療や胆のう摘出手術が必要となります。
胆管炎
胆管に結石がはまり込んだり、胆管がんなどで、胆汁の流れが悪くなると、胆管内で腸内細菌感染を起こし胆管炎になります。外来での通院治療による改善は期待しにくいですので、当院では診断の上、原因精査・治療目的に近隣の提携する病院にご紹介させて頂きます。治療は抗生剤や胆管ステント留置などです。
胆のう腺筋腫症
胆のう壁内の筋層が部分的に分厚くなっている状態ですが、ほとんどは良性で症状を起こすこともありません。腹部超音波検査を受けた際に偶然発見されることが多いのですが、定期的な経過観察で十分です。ただし、大きさや形状によっては、胆のうがんとの鑑別が必要になりますので、CT検査、超音波内視鏡検査(EUS)やMRI検査などが必要になってきます。
原発性硬化性胆管炎
胆管の壁が厚くなり、内腔の狭窄を来たし、胆汁の流れが悪くなることで肝硬変、肝不全となる進行性の病気です。男性に多く、20代と60代にピークをもつのが特徴で、患者数は1200人ほどと推定されています。若い方では、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎)、高齢者では膵炎の合併が多いです。膵炎の中には免疫が関与する自己免疫性膵炎に合併した胆管炎が含まれていることもあり、注意が必要です。
胆のうポリープ
良性のコレステロールポリープが多いのですが、将来がん化する可能性がある前がん病変の腺腫ということもあります。腹部超音波検査で、定期的に大きさや形の変化を追っていきながら、1cmを超える状況になれば、胆のう摘出術の検討をする必要性が出てきます。
胆のうがん・胆管がん
症状が現れにくく、胆のう壁が薄く、接している肝臓に浸潤しやすい傾向があることから予後の良くないがんの1つです。早期発見が特に重要ながんであり、胆石、胆のうポリープなどがあって発症リスクがある場合には特に定期的に消化器内科を受診して腹部超音波検査・CT検査などを受けることが重要です。また、胆管がんも早期発見が難しい病気の一つです。一般的には肝機能異常・黄疸や胆管炎症状(発熱・腹痛)などで発見されることが多いです。専門医による画像・内視鏡検査・治療が必要となりますので、提携する病院にご紹介させて頂きます。
体質性黄疸
黄疸は、皮膚や白目の部分が黄色くなる状態のことで、血液検査をするとビリルビンの値が上昇しています。体質性黄疸は先天的な要因によって生じ、栄養状態、風邪や疲労などで悪化することがあります。発症頻度は約50人に1人とされていて、多くは経過観察のみで対応でき、治療の必要はありません。
膵臓
膵炎
膵臓に炎症を起こしている状態で、急性膵炎、慢性膵炎、自己免疫性膵炎に分けられます。アルコール摂取や胆石、中性脂肪が高い状態など発症原因がわかるケースが多いですが、原因がわからない場合もあります。急性膵炎はいきなり激しい腹痛が起こり、入院による安静・絶食・大量輸液といった治療が必要です。多くの原因がアルコールを占めている慢性膵炎は、膵液の通り道(膵管)の狭窄、膵石などによって膵臓機能が低下し、慢性的な腹痛・下痢、糖尿病の原因となります。自己免疫性膵炎は自身の免疫力が自分の膵臓を攻撃する免疫疾患です。膵臓の一部や全体が腫大して膵管や胆管を狭窄させ黄疸を起こすこともあります。治療法はステロイドや免疫抑制剤になります。長期の治療期間になりますが、外来での治療ができますので、ご相談下さい。
膵がん
予後の良くないがんであり、早期発見が難しいことから膵がんによる死亡者数は上昇傾向にあります。糖尿病、膵のう胞(粘液の袋)がある方、喫煙者が3大リスク因子ですので、定期的な血液検査・腹部超音波検査・CT検査を受けることで早期発見が可能になります。
膵のう胞
膵臓やその周囲に、液体が塊状にたまっている状態です。ほとんどは無症状で問題がありませんが、悪性化するものや膵臓がんのリスクとなるため発見された場合には定期的な経過観察が必要です。急性膵炎や慢性膵炎などの炎症によって生じることもあります。
膵管内乳頭粘液性腫瘍(膵IPMN)
膵液の通り道である膵管に粘液をつくる良性の腫瘍で、膵のう胞の1種です。症状はなく、腹部超音波検査で偶然発見されることがあります。良性でも長期間経過する中で悪性に変化することや、膵臓がんのリスク因子ですので、定期的な経過観察が必要です。
文責:佐久間 大 院長 【日本消化器内視鏡専門医・指導医、日本消化器病専門医・指導医、日本肝臓専門医、日本内科総合内科専門医 など】