健診センターはこちら

漢方薬

漢方薬とは

食欲不振、体重減少、倦怠感、頭痛、めまい、不安・不眠などの身体の慢性的な不調があるにもかかわらず、精密検査をしても異常がみつからない方には漢方治療が有効な場合があります。漢方薬は効き目が出るまで時間がかかるというイメージがありますが、急性な症状には比較的効果が早く出る漢方薬もあります。しかし、何年も患っている慢性疾患などで体質改善が必要な場合は、ゆっくり時間をかけて服用していく必要があります。
ささいなお悩みでもお気軽にご相談ください。

漢方
漢方

漢方が有効な症状

以下のような症状があるのに原因がわからない、西洋医学では効果がみられない場合などに、漢方治療は有効です。西洋薬と漢方薬を併用して治療をすることがあります。

体質

のぼせ、ほてり、冷え性、しもやけ

全身

倦怠感、疲労感

精神

抑うつ感、精神不安、パニック、不眠症、動悸

感染症

風邪、風邪に続く慢性咳、微熱、倦怠感(※細菌感染による肺炎や腹部感染症、尿路感染症は抗生剤が必須です。)

頭部

頭痛、めまい、鼻づまり、アレルギー性鼻炎、慢性鼻炎、のどの詰まり感

皮膚

かゆみ、蕁麻疹、慢性湿疹

婦人科

月経困難症、更年期症候群(のぼせ、頭部発汗、めまい感)

がん患者

食欲不振、全身倦怠感、抗がん剤の副作用(手足のしびれ)、便秘、下痢

治療の流れ

漢方的な診察法「四診(ししん)」を用いて診察していきます。
※症状の経過(いつごろからどんな症状があったかなど)の問診に加えて、舌の状態や脈の質、お腹の緊張や圧痛の有無などでからだの状態を判断します。
「四診(ししん)」は、漢方治療の基本であり、すべての五感を駆使することによって診断を行っていきます。

1望診

目で見て情報を得る診察法のことです。顔色や皮膚の状態(色など)、舌の観察(舌診)など患者さん全体を見たときの印象を漢方の見方で解釈します。
舌の状態を見る「舌診」は有用で、具体的には以下のようなことを見ます。

舌診

  • コケ状のもの(舌苔)の状態
  • 大きさ
  • 形態
  • 乾湿
  • 歯型が舌に残っているか

2問診

様々な状態を問うことで、病院や薬局で行われているような診察や聞き取りと共通しますが、漢方特有の自覚症状についてもお聞きします。
主に以下のような事を聞き取りします。他にも、季節や時間帯による症状の変化、冷えや口渇の有無など、さまざまな情報をもとに判断をします。

  • 主訴
  • 自覚症状
  • 体質
  • 家族歴
  • 現病歴・既病歴
  • 生活状態

3聞診

聴覚と嗅覚を使った診察です。声の様子、分泌物や口臭の有無などが参考になる場合があります。

4切診

直接手で触れることによる診察のことです。主に脈(脈診)やお腹に触れ(腹診)、抵抗感(押した時に押し返す力など)や圧痛(押した時に痛みがないか)などをみます。症状のある部位に触れることもあります。

 

漢方治療に必要な期間の目安

漢方治療に必要な期間は目安としては1〜2ヶ月です。
具体的な期間は症状や使う漢方によって様々なので申し上げるのは難しいですが、1〜2ヶ月を目安に継続するか変更・中止するかを判断します。

治療に用いる「基準」

漢方治療においては次にご紹介する気血水のバランスや状態、五臓の状態、病気とからだの反応との関係(虚実)など、独自の基準・ものさしで心身の状態を評価しています。

気血水

漢方では、人の生命のバランス・心身の状態を「気血水」という3つの要素で表現します。
「気」とは形のないエネルギーで、からだを動かし、あたため、守る働きがあります。元気の気と考えると分かりやすいでしょう。人に気を遣ってしまう、といった日常的な慣用句にも使われており、実は身近な概念かもしれません。
「血」とは赤い色をした液体で、体を滋養する働きがあります。
この働きが低下すると、頭がぼんやりしたり、動悸、疲れやすさ、目の下にクマができやすい、貧血に近い症状などがでることがあります。現代の「血液」という概念とは異なるので、病院で貧血ではないと言われる場合でも漢方では治療の手段があります。
「水」とは文字通り水の要素と考えてよいでしょう。
からだの水が滞る状態を水滞(すいたい)と呼びますが、めまい、からだが重い、顔や足などがむくみやすい、のどが渇きやすい、汗をかきやすいなどの症状と関係します。あるべき正しい水のバランスを取り戻す方向で治療をすることで症状の改善を目指します。

五臓(肝・心・脾・肺・腎)

漢方で考える臓器の働きは、現代的な見方とは異なり、かなり独特なものです。例えば、肝は精神の活動を安定させる働きがあるとされ、肝の機能が低下すると、怒りやすくなったり、神経過敏、不安などの症状が出ることがあります。これは現代医学的な肝機能異常とは別の話なので、少しわかりにくいかもしれません。漢方の見方では主な臓器である五臓の働きは次のようになります。

肝:精神安定、新陳代謝、血を貯蔵、筋緊張の調節
心:意識、睡眠リズム、血の循環
脾:消化吸収、気の生成
肺:気の摂取、血と水の生成、皮膚機能と防衛
腎:成長発育、生殖、骨と歯の維持、耳の働き、集中力

虚実

そのときの病気の勢いと、それに対するからだの防衛反応の強さを表したもので、「実証」と「虚証」があります。
「実証」とは病気の勢いに抵抗するからだの反応が強い状態を、「虚証」とは弱い状態をそれぞれ表します。
具体的には、「実証」では汗が出ず、体力があり、便秘傾向となることが多いです。この場合、汗を発散させたり、便を下す生薬を含んだ処方が役立ちます。
一方、「虚証」では汗が出て、体力がなく、冷えていて下痢傾向になることが多いです。この場合は、からだの表面を守る気の働きを助け、消化機能を高める生薬を含んだ処方が有効になります。

漢方薬の服用方法

漢方薬の服用方法漢方薬は基本的に、空腹時(食前・食後)に温めて飲みます。特に風邪薬などの体を温める効果のあるものは、お湯に溶かして飲むと効果が上がります。しっかりと飲み続けることが重要なので、飲み忘れなければ、服用する時間は決めなくてもいいです。

服用時の注意事項

漢方薬は副作用が少なく、西洋薬と一緒に飲んでも大丈夫なことが多いです。しかし飲み合わせが悪い組み合わせもありますので、胃の不快感、むくみ、肝機能低下、咳などが見られましたらすぐに中止し、医師へご相談ください。

文責:佐久間 大 院長 【日本消化器内視鏡専門医・指導医、日本消化器病専門医・指導医、日本肝臓専門医、日本内科総合内科専門医 など】

TOPへ